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▼Ashitaさん:
おっしゃるように、「本好き≒小説好き」「文章を書く≒小説を書く」、という認識をお持ちの方は少なくないと思います。さらに「小説=名文」「小説家=名文書き」といった思い込みも。
わたしもそうでしたが、この二年ほどで違うとわかりました。かつてないペースで小説を読んでみたのです。その結果が、「名文と名作は違いますよね?」「和訳のギコチナサが、(外国)文学の魅力の一つだったりしますよね?」と言わせたのでした。
十年ほど前に読んだ本で、作家重松清が語っていたことを理解できました。
『小説には悪文が少なくない』
『雑誌や情報誌の記事は、名文(そこでは「達意平明」とほぼイコールとして書かれてありました)でないといけない。コンピューターのことに関して、稚内で昆布漁をしている人にも伝わるように書くことが求められる』
と言ったような内容でした。
誤解覚悟で言うと、
・名文=達意平明=誤解を生みにくい分、情報伝達に向いている=一語一語にひとつの意味しかない=一度の読みで理解できる=解釈解読はすぐに完了する→咽下・消費
・悪文=クセ・味を持っている=含みや行間により、幾通りにも解釈されてしまいかねない=一語一語のもつ意味が、本来の意味以外のものである可能性も孕んでいる=何か本当に言いたいことは他にもあるような気がする=完読してなお残る読後感→咀嚼・保留
Ashitaさんのおっしゃる、
>「文章でできた作品」と「文章による情報・ネタ」が混同されて、それらの価値、無料、有料の境目がぼんやりしてくることが問題視されているのでは、と気がついたのです。
悪文で書かれた情報は無価値ないし信用性の低い情報になりかねませんよね。
情報には情報に相応しい書き方。小説には小説に相応しいかたち。
『相応しい伝え方』
情報に関しては紛らわしさのない、有用なもののみが結局選ばれていることだろうし、無料ならなお選ばれますでしょう。有料でも選ばれてるものもありますよね。
ただ、有用であるかどうかは提供者が一人叫んでもどうしようもない。判断する人がいないと。判断する人をどうやって募るか。無料は間違いなくひとつの手段でしょう。その後は工夫しだい、段階的に有料化するとか。無料はここまで、さらに詳しいことは書籍で、とか。
受け手側の問題というよりも、提供者自身による提供物のもつ価値の見極め・披露の仕方、こっちの方が甘い気がしています。
無料のものが無価値ではないし、情報であれ作品であれ、提供者が金銭対価を求めるなら有料にすれば良いし、広く知られることを求めるなら無料にするのもひとつの手。入会料だけとるとか。また情報公開日を決めておいて情報価値20,000円に設定、閲覧費は情報価値金額を閲覧希望者の人数で頭割りした分とか。自腹分を減らすために口コミが自然発生するかもしれないし。閲覧希望に到らなかった会は次回以降に持ち越し。持ち越しの間にも好奇心をくすぐり続けるとか。工夫。絶対になにかあるでしょう。
価値があるものを無料で提示しておきながら、タダで手に入れやがって、なんてことは通りませんでしょ?
良さそうって言っておきながら、金をとられると分かったとたん必要ないってか。→そりゃそうでしょうね。
良いものだってはっきり分かる、趣味も合う、買う金に余裕もある、28,000円のジャケット。どこの店でも無料では置いてなさそうだ。→きっと買うでしょうね。
『相応しい提供の仕方』
重松清はこうも言っていたように思います。あくまでもわたしの解釈ですけれど。
『名文を書くコツは、誰がこれを読むのかを意識して書くこと』
『誰がこれを読むのかを意識して書くことができれば、例えば小説を書く場合、その作品には「ぼく」「僕」「ボク」のどの表記が相応しいかを、感覚的に使い分けることができるようになる』 と。
名文家の小説家は、悪文も書けるのかもしれないですね。必要に応じてあえて悪文を書いているのかも。悪文のスタイルを好むファンに合わせて悪文で書き続けている。また、名文も書けるのだけれど、悪文が自分の書きやすいスタイルなのかもしれないし。作品ごとに今回はどうするか(内容も書き方も、書く目的も)対応しているんだろうなぁと思います。
書く物を名文にするか悪文にするか。提供する物を有料にするか無料にするか。
読み手(受け手)は、現れたものを判断するのみ。
『相応しい出し方』、これこそ問題じゃなかろうかと思っています。
受け手の判断の目、趣味、感覚、基準、価値観の低下?
無料、有料問題の原因であるかどうか、もうひとつ実感がないんです。
これが本当であるならば、被害を受ける人、ほうっておけない人、が何とかしていくでしょう。
価値観の多様化、一つに集まってたものが分散、一つ一つが小さくなるのは必至。
村上春樹が一人勝ちであるとするのなら、文学の世界は多様化していないのかもしれない。
文学に描かれていることは、結局人間のこと。真理なんて数はなさそうですし…。多様化しづらいのかもしれない。
村上春樹自身は時代をどう感じているんだろう。無料で誰でも見られる春樹サイトあるのかな?なければ1Q84買いに行くしかないですね。それしか手がなきゃ買う他ない(社員割引使えることだし)。
思いついたまま書いてたらこんな時間!
二時間しか寝られない…。
Ashitaさん、おやすみなさい。
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