サブカル

「宝島」出身ということもあって、僕の仕事を客観的なカテゴリーでみれば、主にサブカルチャーということになるのかもしれない。
しかし、現在の僕の中にはそういうジャンル意識はない。
若いときは、たしかに既成の権威を揺るがしそうなもの、世の中に反抗したりすねたりしたようなものが好きだった。
でもいまや何が主流で何が反主流なのかわかりはしない。
だから、素直に美しいもの、気持ちの通うものが好きだ。
たとえば、今から25年くらい前、グラムロックなんかいかがわしくて大好きだったけど、今やデビット・ボウイにしろ、マーク・ボランにしろ、アンチテーゼでもなんでもなくなってしまった。そして今はびこっている、その影響下にある人の音楽は、僕にとっては、なんかちょっと水で薄めたような感じがする。
それと同様のことが出版の世界にもあって、僕が若い頃には、岩波だ筑摩だ、という出版社がまだ世の中の真ん中へんにいて、そういう傲岸な大人みたいなのがいるから、それをまぜっかえすようなことをして遊んでいたガキの一人が僕だった。
でも、今や、そのころ僕たちが開発した非アカデミックな語り口というのが、けっこう出版物の中の流れの中でも太いものになってきている。
そういう流れに今さら参加することには全然意味を感じない。
今は、もっとシンプルだけれども多層的で、強いけれども繊細な、時代的でありながら時代に流されない言葉や語り口を探している。
それはもっと個人の肉声に近いもの。鍛えられた肉声といったものだ。

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