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松×松 アブない?公開往復書簡

ポップアートの出自と行方   松尾由紀夫


うーん、「アヴァンギャルド」ですか、それはそれは。
むかしは、「前衛」なんていいましたね。
軍事用語なのかな、それとも党(パルタイ)要綱とか、物騒な。
アンダーグラウンドはアングラになって、地下や暗黒というのもあったし。
「ニューウェイブ」とか「オルタナティブ」なんていっても、ヤヤこしくなるばっかり、か。

まあ、ジャンルやレッテルというのは便利ではあるけれど、どう便利かといえば、カテゴライズしてしまえば、後は思考放棄できるからなんでしょう。
自分で考えないひとには、とても都合がイイ。それこそ、むかしはそんなお客さん気取りでいると、水をぶっかけられたり、石が飛んできたり、まれには殴られちゃったりしたもんです。殺伐としていたような、むしろ長閑なような感じでもありますが。

表現(この際、反・非・否・新・脱・超、みんなまとめて)の、現場と市場との、内と外との、アレとコレとの、ズレやユルさ、そんな事情は、あらかじめモダニズムにおいては自明の理だろ、なんて乱暴にまとめてみたくもなるというモンです。
モダンというのは、単に意匠ではないし、生き方、例えば消費生活のことでも、ない。
「日本」なんて、永遠の前近代なんだよ、土着と情念だろうよ、なんてね。

いや、いま、私、歯が痛くてさ。
別の話とやらもずいぶんためてしまったので、もっとデタラメになってしまいたいんですが。

そうですね、「特殊化」というのは、イイかも。
「特殊漫画家」と名乗った根本敬の「でもやるんだよ」というのは、素晴しいコトバでした。ん? 関係あるような、ないような。

つまり、ナンです。ほら、「POP」っていう。
何かこう、「サブカル」「オタク」云々をしていても、もどかしいのは「POP」の波頭と戯れているだけみたいな感じなんじゃないかな、と思いもして。
じゃあ、ポップって何だろう。

例えば、ポップアートというのは、意外なコトに英国ロンドン生まれです。
1950年代、当時隆盛の米国大衆文化に抗して、大英帝国のアーティストはいかにあるべきか、という危機感から生まれたといいます。
そんな潮流のオピニオン・リーダーだったリチャード・ハミルトンが定義したポップアートとは、以下のようなモノでした。
「ポピュラー、大衆的、通俗的で」
「はかない、一時的で、すぐに解決する」
「消耗品、容易に忘れられる」
「安価、金がかからない」
「マスプロダクト、大量生産できる」
「若者向け」
「ウィットにあふれた」
「セクシーな」
「ギミック、まやかしの」
「グラマラス、派手な」
「ビッグビジネス、大儲けできる」

うーん、ポップアートというより、違う何かに似ていますね。
そう、むしろ、ロックとかの、音楽産業。まあ、実際にポップアートとしてロックをやると明言したバンドもありますから。

ちなみに、利に賢い現代芸術は、この定義を以下の条件に書きかえたといいます。
「巨大で」
「長篇の」
「やりすぎていて」
「猥褻で」
「批評的」
「神聖な」
「ワルで」
「マジな」
「泣けちゃう」
「耐久消費的で」
「丸儲け」

しかし、かれこれ半世紀を生きのびた「POP」というコンセプトは、先の「ロック」や先行した「ジャズ」なんかより、よほど息の長いコンセプトではないでしょうか。
「アヴァンポップ」なんていう、あまり流行らなかった提唱もありましたけど、どこかムリをしている印象。
「ゴシック」や「バロック」のように、あるいは「縄文」や「弥生」のように扱えるモンなのか、どうなのか、モダニズムにおけるネクスト「POP」を言い当てるのは、ポストモダンなんていうコトよりもスリリングな課題でしょう、嘘?

今回は、歯痛のため、一部あるいはほとんどが文意不明かも。
「適切なリンク」なんて、もとより心がけていない事情を鑑みて、以下いくつかのテクスト・サイトを紹介します。

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迷宮旅行社
http:// www.mayq.net/ junky00.html
カンタン系
http:// kantank.hp.infoseek.co.jp/ index.htm
長澤コズモ
http:// www2.diary.ne.jp/ user/ 125231/

インサイター
http:// home.att.ne.jp/ delta/ insighter/
単調亭
http:// homepage3.nifty.com/ anti-podes/ tantyoutei035.html
しゅるるる
http:// tcup7001.tripod.co.jp/ piaf/ bbs

もちろん、こーゆーコトを始めるとキリがないのですが、各リンク先には掲示板などを含めて、さまざまなコンテンツがあります。
こうして紹介する私も、その全貌を知ったうえではありません。
ただ、言えるのは、読むまでもないものを、あるいは何らかの悪意を以て、私が紹介するコトはナイという、それだけです、よしなに。



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