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松×松 アブない?公開往復書簡

隅田川乱一の死   松尾由紀夫


たまさか同時期に刊行された検証と回顧の書籍から『ヤングコミック』『よい子の歌謡曲』『ポパイ』『写真時代』という、とりとめのないラインナップで誌名をあげて『話の特集』もさりげなく加えた、そんな及び腰に、『地球ロマン』『迷宮』『DECODE』の三連で蹴りを一発、いやはや、どうもありがとう。

言うまでもないことではあるけれど、隅田川乱一というのは、『光る風』の山上たつひこが喰らわせた蹴りともいえる『喜劇新思想大系』の登場人物ですね。それをペンネームにしていた美沢真之助という人物は、確かに老学者のようでもありながら、マンガの風貌にも近しかったような。『スーフィーの物語』(平河出版社)の翻訳のかたわら、彼はFM J−WAVEのニュース原稿を書いていましたが、ある時期のトップニュースは常に、「猿岩石」が現在どこにいるかと報じていたことを思い出します。

私もずっと会っていなかったのですが、亡くなられた後、パートナーだった村田恵子さんに偶然お会いできて、お話を伺いました。入院中、彼のベッドのもとには、絶えずナースたちが訪れ、人生相談をしていたといいます。そして、亡くなった時は、病院中のナースが泣いたそうです。確かに、村松氏や私の知る隅田川乱一は、そんな挿話にふさわしい人物でした。

さて、先の3誌、いわゆる80年代ポップオカルトを牽引したとも伝えられるわけですが、どうも「オウム事件」以降、まっとうには語られないようで。例えば、こんな
http:// www.asyura.com/ sora/ bd12/ msg/ 67.html
記述は見られます。

しかし、『地球ロマン』というのは全6号にわたって、日ユ同祖論、UFO、熊沢天皇、近代神秘学、神代文字と言霊学、倚想科学といったメニュー。つづく『迷宮』では全3号において、近代オカルティズムと霊的指導原理、ナチズムの霊的根源、現代革命と霊性の復権という流れ。ここまでが1980年で、かろうじて70年代におさまるんですが、『DECODE』というのは1982年に発行、編集も武田洋一から武邑光裕に変わりました。「文化のおさらい」をキャッチコピーに、「ラディカル・オカルトの内実から、近代以降の思想・芸術・科学史を根底的に再考」の構想。

うーん、当時は「ニューアカ」っていうステージもありましたっけ。それから「ポストモダン」とか。

ここで、中沢新一という名前を不用意に出したり、つづけてあれそれこれだれと人名列挙すれば、話題には不足ない。
とはいえ、はてさて。

ひとつ、私はもっとデタラメでも良いと思うけれど、どうだろう。もちろん、注釈なんかいらないんだ、それともいるのかな。まあ、しばらく「DOOR」を捜してみようか。
ずっと雑誌の話題をつづけるつもりではないにせよ、次回、私は『遊』のことを書きましょう、何だか落ち着かないや。



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