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「ネットと無料」のメルマガ記事、サイト、掲示板を読んで、ここ数日
いろいろと考えてみました。
私は、『1通目のメール』の方が書かれているような環境に住んでいます。
大きな書店に行くチャンスがなくて、ネットで本を購入する機会が増えつつも、
ネットの影響か、久しぶりに訪れてみた書店が、いつのまにかなくなっているのを
知ったりすると、とても寂しい思いをします。
「ネットと無料」と話がそれるかもしれませんが、家電製品なんかでもネットの
情報や価格で選んで、商品だけ店頭で確認とか、販売員さんにさんざん機能などを
質問し、値踏みをしたあげく、ネットで買う、という人は少なくないと思います。
これも「情報はタダ」的な使い方ですよね。
書店も、立ち読みは黙認されているお店が多いですから、立ち読みだけして、
買うのはネットの中古で、ということもあると思います。
これが過ぎると、家電店や書店は商品のショールーム化となってしまいますよね。
車やキッチンなどのショールームであれば、ショールームの運営費はメーカーさん
が出すのでしょうが、家電店や書店がこういった利用をされていると、
なりたたないでしょう。
書店で、背見出しに惹かれて手に取った本の扉を開き、そのまま家に連れて帰り
たくなる本との、思わぬ出会いを愛する私は、こちらのほうも心配です。
ここで、「ネットと無料」のほうに話を移しますが、私は、ネット上に無料の
情報が氾濫していることや、無料の情報だけを漁る人がいるのは、そう責められる
ことだとは思いません。
私もよく無料情報を利用し、とても有難く活用させて頂いていますし、必要で
あれば買うこともあります。
ネットに限らず、自分でろくに調べもせずに、人に何から何まで聞いたり、
年がら年中、悩み相談を持ちかけて来てコメントを求める人は、けっこう私の
周りにいます(笑)。
デパ地下で、試食品のつまみぐいのハシゴをする人が来るようになるから、
デパートでは試食をさせるな、というわけにはいきませんものね。
(ちょっと、例えが違うかな…)
それが、ネット上であろうと、リアルなものであろうと、流通するものが増え
れば、選択肢は増えるわけですし、情報を比較検討するチャンスも増えるという
ことではないのかな、と思うのです。
(ネットの情報をなんでも鵜呑みにする人、内容のよしあしを比べない人、
見分けがつかない人、というのは、もともと本も読まない人のような気が
します)
ネットというものが悪用されたり、トラブルのもととなったりということも、
たくさん出てきたいっぽうで、自分の情報や経験を惜しみなく出したり、悩み相談
に対して親身な意見を寄せたり、どれだけ時間をかけたか計り知れない自作の
ソフトをフリーで提供して、その上バージョンアップの対応までされている人が
いるのを見ると、私は、かえって、世の中捨てたもんじゃないな〜、と思います。
文章(小説)でも音楽でも、確かに「亜流の増産」にはなったのでしょうが、
私はネットのおかげで、隠れていた才能が世に出てくるチャンスや窓口が増えた
のではないかとも思います。
逆に、ネットの中からでも商品化されるもの、たくさんの人に支持されるものと、
その他大勢のものは、やはり何かが、どこかが違うんだろうと、気づかされる
きっかけにもなっています。
無料の情報がパソコンで手に入るから、書店に並ぶ本の価値も低く見られる、
というようなご意見もありましたが、だからこそ、プロは亜流の目新しさや手軽さ
などには負けない、その人ならではの価値のあるものを提供しなければならない
のではないでしょうか。
無料で情報や作品を出すことに抵抗のある方も多いでしょうが、宣伝費、参加費
をかけずに、自分の作品を宣伝できる場として、割り切られるのもひとつの
考え方かな、と思います。そこで、「お金も払わないような人」からの、悪意ある
感想やリクエストがあったとしても、平然と無視するという訓練!?として、
乗り越えれば、プロになった時に「お金を払った人」ならではの上から目線!?の
コメントにも同じように対処できるような気がします。
今は、写真や名刺や年賀状の印刷から天然酵母のパン焼きまで、以前はプロに
頼んでいたものが、手軽に家庭でできるようになりました。それでも、プロはプロ
として、印刷業や製パン業をはじめ、いろいろな業界で、「値段優先」で
「違いがわからない」消費者が増えていくなかで、いかに本物の価値を伝えるか、
がんばっていかなければならないのでしょう。
私の夫も建築系の職人ですが、消費者という以前に、元請側の人や会社に、
「値段優先」「違いがわからない」人が増えてきています。それでも、なんとか
他の職人と差をつける努力や工夫をするしかありません。
「世の中に出るに値する才能は、必ず世に出る」と、いつか何かで目にしました。
私の好きな言葉です。
今は、とりあえず出るに値しなくても、ネット上にはいろいろなものが出てきて
しまうわけですが、ネットの海に浮かぶ雑他なものに目をとられているうちに、
底のほうから見たことも無いような生物や鉱物が、ある日、陸にあがって
私たちを魅了してくれることもあるかもしれません…。
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